このブログは、疲労と休息がテーマの特別企画「ツカレからの脱出 ~疲れとやすみのサイエンス」(2025年7月16日~9月15日)の様子をお届けするブログシリーズです。これまでのブログはこちら。
vol.1 自分らしく休んで、疲れとさようなら https://blog.miraikan.jst.go.jp/articles/20250808post-566.html
vol.2都会の中の小さな森のやすらぎ ~デジタル森林浴~ https://blog.miraikan.jst.go.jp/articles/20250808post-565.html
vol.3 未来館「イス」めぐり https://blog.miraikan.jst.go.jp/articles/20250812post-564.html
vol.5ハムッ! モフッ! かわいくて癒される子たち大集合! https://blog.miraikan.jst.go.jp/articles/20250828post-570.html
vol.6 おしゃべりも進化する?VRで見つける未来の休み方 https://blog.miraikan.jst.go.jp/articles/20250925vr-2.html
vol.7 ゆらゆらに癒される ~ゲルクラゲの不思議な魅力~ https:// blog.miraikan.jst.go.jp/articles/20251126post-581.html
この前まで夏だったのに、あっという間に秋が過ぎ、気づけばもう冬の気配。朝の冷え込みが辛くなってきて、なかなか布団から出られないという方も多いのではないでしょうか?「もっとぐっすり眠りたい」、「朝すっきり目覚めたい!」睡眠のお悩みが尽きない筆者です……。
2025年7月16日~9月15日まで実施した「ツカレからの脱出 ~疲れとやすみのサイエンス」では、「やすめる、たべる、つくる、ふれあう、はなれる、たのしむ、きりかえる」という7種類の休み方に沿って、展示をご紹介しました(7種類の休み方については詳しく知りたい方はこちらをご覧ください)。
展示では寝たり、食べたりするだけじゃないユニークな休み方をご紹介しましたが、もちろん「寝ること」は重要な休み方のひとつ。展示の中では「やすめる」という休み方としてご紹介しました。今回のブログでは、その関連企画として8月31日に開催された、「眠り」に焦点をあてたイベント 「おやすみ未来ラボ」 の様子を紹介します。
未来の睡眠アイテム!? 新しい“眠り”の体験
「おやすみ未来ラボ」では睡眠に関する3つのイベントを実施しました。1つ目のイベントは “眠りを持ち運べる服”ZZZN SLEEP APPAREL SYSTEM(ズズズンスリープアパレルシステム)の体験会。
一見するとおしゃれなダウンコートのようにも見えるこちら、睡眠を持ち運ぶという新しい発想から生まれたアイテムです。コートとヘッドピース、スマートリングの3つから構成されています。見た目は極寒の地でも大活躍してくれそうな厚手のコートですが、羽織ってみると意外にも軽く、心地よく身体を包んでくれます。着ている人の体温を利用して温かさを保つ光電子繊維が使われており、自然なぬくもりを感じられます。
ヘッドピースにはヘッドフォンが内臓されていて、入眠しやすい周波数の音楽が流れます。おでこの部分には照明があり、着用している人にもぼんやりとその光が届きます。最初は入眠に適しているとされる赤色に光り、スマートリングによって測定された、着ている人の心拍数などの生体データに合わせて明滅し、ゆっくりと心地よい眠りへと導いてくれます。さらに入眠だけでなく起きるときにも工夫が。赤色に光っていた照明が覚醒を促す青色に光り、音楽もすっきりとした楽曲に切り替わります。
※体験会ではスマートリングを使った生体データの測定は行いませんでした。
テクノロジーを使って一人ひとりに合わせた睡眠環境を実現しようと開発されたZZZN SLEEP APPAREL SYSTEM。開発にあたっては”断絶”というのが重要なキーワードだったそうです。私たちは、日々たくさんの情報に囲まれ、つねに社会とつながった”ログイン状態“で生活しています。その一方で、睡眠というのは誰にも邪魔されないその人だけのパーソナルなもの。社会から断絶され”ログアウト”できる唯一の時間。「そんな眠りを自分のスタイルに合わせてカスタムし、自由に持ち運べたら……。」そんな発想からこのシステムは生まれました。ZZZN SLEEP APPAREL SYSTEMのようなアイテムを使って、仕事の休憩時間や用事の合間のちょっとした待ち時間に眠りを摂取し、また元気に活き活きと活動する。そんな未来の休み方のカタチを感じさせてくれるイベントでした。
大人も子どももいっしょに眠りの世界へ うとうとラウンジ
ZZZN SLEEP APPAREL SYSTEMの体験会の横にはこんなスペースをつくりました。なんと未来館の中で自由にお昼寝ができる場所、その名も「うとうとラウンジ」です。
「うとうとラウンジ」では親子の眠りにフォーカスしたイベントを実施しました。なかなか眠れない子どもたち、子どもたちの寝かしつけに悩む親御さんたちをサポートしたいという思いからスタートした「おやすみ書店 みみみん」の読み“寝かせ”ライブが行われました。「おやすみ書店 みみみん」は絵本の朗読のプロである絵本専門士による絵本の読み聞かせの音声コンテンツです。睡眠に入りやすいテンポや声のトーンを検証し、聴くことで自然と眠くなる読み方を追求して開発されました。イベントでは日本テレビ元アナウンサーで絵本専門士でもある杉上佐智枝さんによる生の読み寝かせが。ゆっくりと心地よい杉上さんの声でいつのまにか大人も子どももうとうと……。あれ?いびきが……? 未来館の中に突如現れたお休みスペースは大人にも子どもにも大人気でした。
睡眠のお悩み、どうしたら解決できる?
3つ目のイベントは一人ひとりにとってぴったりな睡眠を考えるトークイベント「みんなで描こう! あなたにベストなぐっすりのカタチ」。ZZZN SLEEP APPAREL SYSTEMの開発メンバーの株式会社NTT DXパートナー の尾形哲平さんと株式会社Konelの清水陸さんをお招きし、プロジェクト誕生の背景や、これまで手がけてきた睡眠関連の事業についてお話をうかがいました。トークの後半では「睡眠の悩みを解決するためにあなただったらどんなもの・こと・時間がほしい?」のお題のもと参加者のみなさんからアイデアを募集。参加者のみなさんの驚くほどの発想力に、尾形さん、清水さんもびっくり。イベントの様子はアーカイブ動画からご覧いただけます。未来の“ぐっすり”のかたちを、ぜひ一緒に想像してみてください。
あなたにベストなぐっすりのカタチ
イベントを通して感じたのは、自分にとってぴったりな眠りのかたちは本当に人それぞれだということ。睡眠は誰にでも共通で必要なことだけれど、実はとてもパーソナルで個性ゆたかなものかもしれません。
疲労と休息がテーマの特別企画「ツカレからの脱出 ~疲れとやすみのサイエンス」では、来館者のみなさんが自分にぴったりの休み方の組み合わせ「おやすみブレンド」を描いてもらいました。
ここでも自分の休み方の中に「寝る事」、「睡眠」を取り入れている方をたくさん見ました。しかし、描いてくれたみなさんの年齢やライフスタイル、性格などはそれぞれ違うはず。きっとそれぞれにぴったりの眠り方も違うと思います。新しいテクノロジーを取り入れてみたり、ライフスタイルから自分の睡眠を見直してみたり。自分に合う休み方を探していく中で、自分にぴったりの睡眠のカタチも考えてみてもいいかもしれませんね。
【展示協力】
株式会社NTT DXパートナー / 株式会社Konel / 日本出版販売株式会社 / 日本テレビホールディングス株式会社